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2007/08/08

アイヌ

アイヌというと北海道ですが、正確ではありません。
東北地方にもアイヌがいました。
千島列島やサハリン(旧樺太)、その対岸の大陸側(現ロシア)も含むかなり広大な地域にアイヌは生活していました。

自分がアイヌについて深く興味を持ったのは一冊の本です。
「蝦夷地別件」(船戸与一)

その昔、蝦夷(えぞ)と呼ばれた北海道の、さらに東部(釧路から根室、網走にかけて。道東部)をメナシ(目梨)地方といいました。
江戸時代末期にこのメナシ、そして北方4島と呼ばれているうちで最大の島クナシリを舞台に和人(日本人)の圧政に対するアイヌの最後の民族蜂起がありました。

このメナシ・クナシリの事件を前後を含めて丹念に描いた小説がこの「蝦夷地別件」です。
物語のはじめはアイヌの人々の生活が描かれ、日本人(和人)との軋轢を少しづつ明かしながらも自然と共に生きていたアイヌの生活が細かく描かれています。
次第に日本人(和人)がいかに他民族に対し残虐であるか、当時の松前藩やメナシ地方の交易を請け負った商人飛騨屋の目を覆いたくなるほどの非道を通して描かれていきます。
圧政からの開放を目指したアイヌの蜂起、鎮圧、そして征服民族(日本人)による非征服民(アイヌ)への虐殺という形でこの戦いは終結します。

この戦いの後、物語は目の前が真っ暗になり言葉を失うほどの衝撃的な展開で終わります。

世界いたるところで民族紛争が起きていますが、多くの日本人はあまり実感のないニュースとして受け止めていると思います。
日本は国内にいる少数の他民族を力で押さえつけて今があることを知らない人がほとんどでしょう。

今の多くの日本人を構成している人々は(自分も含め)この国内では弾圧した側で、その加害者側が編修した歴史の知識の上にあぐらをかいている、と言うことを痛烈に感じさせられた小説でした。

北方領土問題で政府が「北方四島は日本固有の領土」と吹聴しています。
小説を読む前後でこの宣伝に対する心象が一変してしまいました。
アイヌの歴史を知れば、北方領土と呼ばれる地域が本来はアイヌのものであること、日本人が非道な手段で彼らから侵略し奪った島であって、少なくとも「日本人がわが国固有の~」などと厚顔をさらすことが出来ないことがわかるはずです。

だから、北海道をアイヌに返せ、何てこと言うつもりは毛頭ありません。
ですが、日本とは何であるか、日本人とは?民族とは何であるか、をもっと真摯に考えるべきだろうと思うのです。

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